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ナパ

Author:ナパ
静岡でアンテナを伸ばす33歳。
放送関係の仕事について11年、
毎日の一期一会が楽しみです。
いつでも今を大切にしたいです。

出没場所:
静岡県全域、両替町界隈
くうのむ、つぼみ、海
シャンティタウン、風と松
つむらや、伊太楼、ボルカノ
チュチュルリエ

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しずおか78チャンネルのアンテナ
インスピレーションや思索の粒を発信してみます
ありがとう
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 人間にとって、言葉はもっとも重要なコミュニケーションツールである。
旅行から帰ってきた翌日、行きつけのそば屋「つむらや」でお茶を出されて、
ごく自然に出た自分の「ありがとう」という言葉に、我ながら驚いてしまった。
挨拶は「すいません」や「どうも」ではなく、やはり「ありがとう」が気持ちいい。
海外旅行に出る度に、自分も含めた日本人が、普段どれほど無愛想かを
思い知らされる。これでは楽しい出会いを自分から拒否するようなものだ。
「寅さん」を見てもわかるように、気持ちいい挨拶が出会いのきっかけになる。
旅先では、旅に出ているというテンションがそうさせるのかもしれないのだが、
私は小学生並みに挨拶励行になる。

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 バリは思った以上に日本語が通じるところである。歴史的経緯によって
日本語が盛んだった台湾並みかそれ以上だと思う。バリ到着日、空港から
ホテルまでの送迎サービスでアテンドしてくれたのはイコマン・ワスパさん。
礼儀正しく丁寧な日本語を使う。ただ、バリは何度目か、バリでの予定、
バリに知り合いはいるか、などの質問には若干辟易した。こちらの手の内を
明かすような質問にはできるだけ答えたくないのが本心だ。過去の経験から
「海外で日本語を上手に操るフレンドリーな外国人を信用しない」法則が
私の中に確立されてしまっていることもある。海外旅行では楽しい出会いを
求めつつも、常にリスク回避を念頭に置いて行動しなければ痛い目に遭う。

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 ワスパさんの質問と提案攻撃は、ホテルに着いてからも止まなかった。
翌日はクルマをチャーターする予定だったが、実のところ、当てはない。
ワスパさんはチャーターやオプショナルツアーの提案を次々としてくる。
パンフレットには通訳ガイド付き1日チャーターでUS90ドルとある。

「ワスパさん、それ、高いんだよなあ」
「それでは80ドルでいいです」
「いや、オレ本で読んだもん」
「いくらですか?」
「タクシーのチャーターは1日40万ルピア」
「…わかりました。会社には内緒でやってもいいですか?」

ちなみに40万ルピアというのは、日本円にして5000円弱である。
さっそく直取引を求めてくるあたり、さすがに慣れているなと感心する。
通訳ガイド付きで40万ルピアなら高くない。しかもこのワスパさんは
日本の旅行代理店に籍を置いているわけで、身元も割れている。
これからタクシーと交渉するよりベターだ。

「いいとも、じゃあ明日10時で。」

 翌日、ワスパさんのガイドで、私たちはバリの休日をスタートさせた。
まず、私たちがカネに非常にうるさいこと、オプショナルツアーのような
似非観光には全く興味がないことをハッキリと告げる。当然ながら、これは
私たちが「うるさ型の客」なのだと認識してもらうための演出でもある。

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 自分たちのキャラ設定を済ませると、ワスパさんに現地の挨拶を教えて
もらった。バリはインドネシアの島なのでインドネシア語が共通語である。
「テリマカシ(ありがとう)」くらいは知っているが、基本の挨拶である
「スラマッシアン(こんにちは)」「スラマッジャラン(さようなら)」も
当然覚えておきたい。そして、見落としてしまいがちなのがバリ語である。
バリ島はインドネシアに属しているものの、歴史的に見れば、それはここ
60年弱の話に過ぎない。元来、言葉も宗教も独自の文化を持つエリアだ。
土着の言葉であるバリ語で挨拶すれば、相手の見方も少しは変わるものだ。
例えば、関西弁を操る欧米人に日本人が親しみを感じるようなものである。
「オムスワスティアストゥ(こんにちは)」「マトルスクスモ(ありがとう)」
この基本挨拶を、持ち歩きファイルのいちばん見やすいところにメモして、
ワスパさんがすすめる「スカワティ市場」に行くことにした。リスク回避の
経験則「ガイドのすすめる市場にバックマージンあり」がちらついて、
あまり気乗りしなかったが、とりあえず行ってみることにした。

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 ワスパさんがローカルな市場だと言い張る「スカワティ市場」には
たしかに欧米人や日本人の姿は見えない。そのかわり、ジャカルタからの
観光客があふれかえっている。ウブド市場のような観光市場の上代が、
日本人や欧米人向けになっているとすれば、このスカワティ市場の上代は
国内観光客向けということになろう。そもそも、品物に値札が付いている
わけでもない。よって上代も何もないのだが、相場感として観光市場より
少しは安いかもしれない。賑やかでローカル感の漂う雰囲気は思ったよりいい。
ついつい買いすぎてしまう。それぞれ品物の金額は言い値の半額程度で
手を打った。それでもまだ下がる気がするが、過ぎたるは及ばざるがごとし。
100円にこだわって相手の気分を害しては元も子もない。よそ者が勝手に
入り込んでいるのだから、多少のカネを落とすのが礼儀というものであろう。
ちなみに、その国の物価を知るよい方法はスーパーマーケットを見ること。
「スカワティ市場」で上代が15000ルピアだった土産用ハンドクリームが、
「ティアラ・デワタ」では上代7500ルピア。私は10000ルピアで
2つ買ってしまったが、こればかりはあとの祭りである。

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 このあと、デンパサールの「クンバサリ市場」に行ってみたが、こちらは
明らかにローカルだ。値札が付いている良心的な店もある。ウブドの商店主が
クンバサリ市場で品物を仕入れた後、ウブド市場で3倍の値段で販売していると
聞いたが、なるほど値段が違う。ここで仕入れる日本の雑貨商も多いとか。
日本なら卸値の10倍でも売れそうだ。仏像や彫刻、アート系の大きな商品は、
卸値の20倍でも売れそうだ。これなら日本でアジア雑貨店を開業しようと
思わないでもない。バリをビジネスにする日本人が多いのも頷ける話である。
そういえば、ワスパさんの属している旅行代理店の経営者も日本人である。

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 言葉の話に戻って考えてみると、日本をビジネスにするバリ人は日本人の
それよりずっと多い。ワスパさんをはじめ、日本語を使うバリ人の多くは、自身の
ビジネスのために日本語を使っている。生活や収入に直結するだけあってか、
彼らの日本語レベルは驚くほど高い。姫とクルマの中でちょっとした相談を
しようにも、こちらの話が理解されてしまうのではないかと躊躇するほどだ。
感動的なジェゴグのステージをみせてくれた「スアール・アグン」の団長、
スウェントラ氏の日本語は、話を聞いている限り、ネイティブレベルである。
優れたアーティストであり、日本人の奥さんを持つスウェントラ氏に敬意を
表して言えば、ステージで操られる彼の日本語は親戚のおっちゃんレベルまで
熟成されている。語尾や呼びかけの間は、学校の先生か親戚のおっちゃんだ。
ともあれ、彼らの日本語のおかげで私たちのバリ旅も楽しいものになった。

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 旅行最終日、ホテルから空港に送ってくれたのは制服姿のワスパさん。結局、
あれからもう1日クルマをチャーターして、夕陽のタナロット寺院も見に行った。
ワスパさんが「ウチで家族と夕飯を食べませんか?」と申し出てくれたのを
断ってしまったことは、いま思うと残念だが、次回は彼の家にも行ってみたい。
日本に帰った翌日には、さっそくワスパさんから日本語のメールが届いていた。
そこに「KONDO KURU TO MATA WATASHI NI RENRAKU SHITE MO IIDESU、
MATANEE、OTOMODACHI O OKUTE KUDASAII」とある。しっかり者である。
そして、ウブドで豚の丸焼を一緒に食べたマレーシアの華僑オネエサンからも
写真が送られてきた。彼らとの出会いで、バリ旅はさらに思い出深くなった。

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 旅行から帰って1週間。ようやくいつものリズムが戻ってきたようだ。
静岡の街にも顔を出していなかったので、木曜日、久々に「くうのむ」。
旅行から帰ってきて、自炊したカレーのスパイスがやめられなくて、
ほとんど毎日カレーを食べていたのだが、ここでもカレー。「くうのむ」の
カレーはスパイスが入って独特の味、実はとても旨いのだ。Hさんに
聞いてみると、カルダモンやガラムマサラを入れてあるという。ちなみに
ガラムマサラとは単体のスパイスではなく、ナツメグやシナモン、クローブ、
コショウなどのスパイスを混ぜたものである。スパイスは奥が深そうだ。
金曜日は「つぼみ」。Iちゃんと友人のOさんと合流してパレス2ビルの
「ふじわら」。5年振りに訪れたが、優しそうな親方は変わっていない。
親方は2週間前にご結婚されたばかりだそうで、結婚式の写真を見せて
もらったが、本当にうれしそうな笑顔で、こちらも幸せな気分になった。
連休、ワスパさんに日本の絵ハガキでも書いておくってみようかと思う。

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